HSK4に受かったのに中国語が聞こえなかった理由 ― 合格と実用力がズレる本当の原因 ―
HSK4に受かったのに、なぜ中国語が聞こえなかったのか― 合格と実用力がズレる、本当の理由 ―
HSK4に受かりました。
点数も、基準は超えています。
それでも正直に言うと、
「中国語がわかるようになった」という実感はありませんでした。
会話スクールでは、
先生の言っていることを聞き返すことが多く、言い直してもらって、やっと理解できる。
今振り返ると、
HSK合格と実用力がズレていた理由は、
努力不足ではなく「学び方の構造」にありました。
ズレ①
試験は「初見耐性」をほとんど要求しない
HSKは、質問形式が決まっています。
過去問題集もあり、出題パターンも想定できます。
つまり試験では、
「何を聞かれるかを知った状態」で聞くことができてしまいます。
私自身、
音声を一語一句聞いていたというより、
ここで答えが出るはず
たぶんこの話題だろう
と、解答の取り方を追っているだけでした。
拾い聞き。
解答拾い。
それでも、点数は取れてしまう。
でも実際の会話では、
相手は出題者ではありません。
質問の形も、話の流れも、予測できません。
そこで初めて、
「聞けていたと思っていた中国語」が
ほとんど聞けていなかったことに気づきました。
必要だったのは、
文章を聞いたあとに
「どこが聞き取れていなかったのか」を
きちんと分析し、そこを鍛えるトレーニングでした。
ズレ②
単語がわかる=文章が聞き取れる、ではなかった
HSKでは、使われる語彙がある程度限られています。
そのため、文法が曖昧でも
単語が拾えれば解答につなげられてしまいます。
会話でも、前提が共有されていれば、人は推測で理解できます。
これは母語でも同じですよね。
でも、前提のない文章をいきなり音で聞かされたとき、私はほとんど対応できませんでした。
例えば、
只有 と 只要
都・也・就
意味は知っているのに、「今聞こえたのはどっちだ?」と迷う。
聞いたことのある文章なら、まだいい。
でも、聞いたことのない文章になると、リズムが掴めず、聞き漏らす。
私は、
単語はそこそこ聞き取れても、
文章としてまとまって聞き取る力が甘かったのです。
「単語を知っている」ことと「文章を聞き取れる」ことを、混同していました。
ズレ③
慣れた環境が、実力を錯覚させていた
会話スクールで先生を固定すると、自分の弱点を理解してもらえます。
それ自体は悪いことではありません。
ただ、先生が気を利かせて
こちらにわかりにくい言い方を避けてくれていると、自分が話せている気になってしまいます。
自分自身も振り返ると、
使えるようになりたい表現
より
- 使い慣れた表現
を無意識に選んでいました。
決まった相手とは話せるのに、初めて会う人の中国語は聞き取れない。
もし、
「この人とは話せるのに、別の人だと急に難しい」
という経験があれば、
それは実力不足というより
初見の音に触れていない時間が長かっただけかもしれません。
3つに共通して足りなかったもの
振り返ってはっきり言えるのは、
私に足りなかったのは語彙量でも根性でもなく、
初見の中国語を
推測に逃げず
音と構造のまま処理する力
でした。
言い換えると、
初見耐性
音→意味を直結させる力
聞き取りの基礎体力
この部分が育っていなかったのです。
HSK受験は悪くない。ズレていたのは「自分の学び方」
誤解のないように言うと、
HSKも、HSKの勉強そのものも、否定していません。
試験に集中した時間があったからこそ、
語彙も文法も身につきました。
違和感があったのは、
実力が感じられない自分自身に対してです。
試験テクニックとしての勉強に没頭しすぎて、「聞ける力」を測る視点を持っていなかった。
ただそれだけでした。
もし今、同じ違和感を感じているなら
HSKには受かった
でも会話になると自信がない
聞き返すことが多い
もしそう感じているなら、今必要なのは次の級ではなく、
初見音声に触れる量
音を意味に直結させる練習
聞き取れなかった原因を言語化する作業
だと思います。
音として処理できない中国語は、意味にたどり着く前に消えてしまいます。
ここを補う学習を始めたとき、ようやく「わかる感覚」が少しずつ戻ってきました。